小雨と雷

郊外山麓の大学研究室。
平屋の建物なのに、斜面を利用しているため、搬入口まで三階分くらいの階段がある。ちょっとこれは事です。なにしろ棚の本はほとんどが漢文関係。やたら大判の重量本が多い。全百何巻という大物もある。これを全部抱えて下りるなんて・・・。
考え込んでいると、他にも入り口があるという。こちらは道路に面している。
「でも遠いんです」
なるほど建物を三つつないだような曲がりくねった通路が約150m。しかし、一箱一箱手で抱えて三つ折れの階段を下るよりは、台車で一度に8箱、走った方がはるかに楽ちんだろう。ほっとする。
ぎちぎちに積んでいって、助手席にも積み上げて、ほとんど横も後ろも何も見えなくなったところで、机の裏の棚から大漢和辞典だの国語大辞典だのその他わらわらと出てきた。大漢和などなんと三セット。これはもう積めるわけがない。後はまた明日。