合掌

出張買い取りは体力・気力の按配で一日一件でお願いしたいところだけど、そう都合よくはいかない。今日は二件。
福大近くで10箱。
「セットものは引き取れないと聞きましたけど、捨てるに忍びなくて・・・」
世界の名著、日本史探訪などはともかく、「ついでにどうぞ」という文庫が売れ筋でどうにか。このところ文庫の在庫が豊富になるばかり。さあ来い即売会。
夜になって空港近くの団地4階。
前回昨年10月は、私が箱に入れる端からご主人が運び下ろしてくれるので、大層楽チンだった。
軽い気持ちで伺うと、ご主人がお一人。
「じつは家内が亡くなりまして・・・」
昨年はあんなにお元気そうだったのに、5年前からの闘病生活だそうで。なんと言葉をかけたらいいのやら。遺影に手を合わせても、なんだか気力が戻らない。今回もまたほとんど運び下ろしていただく。恐縮するばかり。
「文章を書く仕事だったので」という奥様の本は、まだ二部屋の壁面にギッシリ残されている。
「キリがついたらまたお願いします」とのことだけど、いえいえゆっくりとお別れしてください。
ご夫婦は、ほとんど私と同世代。まだまだ早すぎる。