会場の床は大理石だった

朝、売台を覆っているシートを外そうとして思い切り振ったら、メガネに引っかかって床に叩きつけてしまった。右のレンズが見事5分裂、一片は外れてどこかに飛んでいって、残った4片を慎重にセロテープでとめてはみたものの、いやこれは大変。継ぎはぎレンズで視界は歪み、その上テープでカスミがかかり、右眼と左眼が右往左往。ほとんど吐き気がする。
こういう時、誰も同情はしてくれないのだな。
メガネを見たとたん皆笑い出す。
「松本零二のマンガの、ほら何と言ったか、あの貧乏学生そっくり」って、それはないだろ。
このメガネじゃ、生きてはいけない。3時の交代を待ちかねて、片目運転の帰路、箱崎のメガネ屋さんに駆け込む。ここは18,900円均一がウリ。以前から「ホントかね?」とちょっと眉にツバつけていたけれど、ホントにホントだった。おまけに、“二個目は2,000円引き”という甘言につられて、パソコン作業用にもう一つ注文してしまった。「中近用」とかいうらしい。
メガネ二つで計35,800円。娘から保険の振込みのために預かっていたお金がちょうど35,000円。全部メガネに消えてしまって、さて振込みの方をどう始末したらいいのだろう?