昼過ぎ、当番を交代早々、中年の男性から「青春という名の詩、という本はないかね」と聞かれる。
「サムエル・ウルマンですか?」
「そうそうそのサムエル・ウルマン」
思わず笑ってしまう。
実は昨日買った中にその本があった。
入り口付近に無理やり詰め込んだ数十箱。家を出る前、とりあえず開けてみた一箱の一番上に確かに入っていた。以前はごくありふれた本だったのに、今ではわざわざ探しているお客さんもいるわけだ。
「いや、まだ持っているはずなんだけどね、見つからなくて」
あの大量の本の中でただ一冊書名を確認した本を、その日のうちに尋ねられるなんて、これもなにかのご縁でしょう。お安くお譲りいたしましょう。