親戚はほどほどに

西新プラリバに寄り、ザッと台の整理をした後、はるか糸島半島に向かう。当店から二時間半。現地は海辺の山の中、最初から計画されたものではなく、自然増殖した別荘地のようで、車一台がやっとの道を、登ったり下ったり曲がったり引き返したり。一軒一軒識別できる詳細な地図をダウンロードしていなければとても辿り着けやしなかったろう。ネット様様です。
法要の後、親戚一同集まってくつろいでいる。最近ご主人が亡くなり、この空き家にそのまま置きっぱなしの本はざっと二千冊。ひと昔前の推理文庫や100円均一棚行きの一般書がほとんどで、一目見たとたん、どう言ってお断りしようかといささかあせる。
「書斎にも少しあります」という棚を見せていただいて一安心。写真集やカメラ関係、こちらで何とかなりそうだ。どんどん抜き出して、胸の高さくらいまで積み上げる。十数人が飲んでいる間を通って運ぼうとすると、長老らしき男性が「その本は置いていってくれ」。なんだかその場の鶴の一声で、依頼主の息子夫婦も、面と向かっては何も言えない。最初の二千冊もそのまま置いて退散することになってしまった。
クレームをつけたあのオジサン、古本屋なんぞに儲けさせるのがしゃくにさわったに違いない。しかし実際のところ、あの本ではほとんど儲けはありません。自分で読むわけでもないだろうに、空き家に本を閉じ込めていったいどうするつもりですかね。