緊張の数分間

昼過ぎ、奇声を発する男性が来る。二十代、小太り、カバンをたすきがけにしている。本を頭上に差し上げて「キエッ」と大声を出す。まともに見るのは怖い。横目で様子を伺う。会場は広いので逃げようと思えば逃げられる。しかし、追いかけっこして敵うわけがない。他に客はいない。死角で見えないけれど、CD屋さんのレジの女の子もさぞや怖かろう。
いや、ただそれだけです。もちろん何事もなく。