中央区地行

例によって「空き家になっている実家の本を処分したい」とのこと。
「3分の2はどうにか捨てたんですが」捨て疲れて当店に声がかかったらしい。
どうか皆さん、捨てる前にお電話ください。お願いしますよホントに。
19箱を詰め終わって汗を拭いていると、
「ところであなた、本以外は扱わんのですか」
「絵はがきがちょっとあるとやけど」
昭和初期の軍事郵便から、新しいものは20年ほど前の観光絵はがきまで玉石混交。大きめの箱ひとつ分ある。
「それではこの絵はがきは、ン万円でよろしいですか?」
しばし微妙な空気が流れる。結局は気持ちよくお譲りいただいたけれど、19箱の本と1箱の絵はがきに同じ金額を提示したから、不思議に思われたのかもしれないな。
「どうせ捨てるつもりやった」というあの絵はがき、買値二三千円の方がスムーズに事が運んだだろう。高く買えばそれでいいというものでもない。何回やっても買取は難しい。