「西区なんですけど、今日来ていただけますか?」
「ああ、いいですよ」気楽に請合って、車に乗ってから思い出した。ガソリン代高騰のこの時節、まず何があるのかよく聞いて、わざわざ出かけていって引き合うかどうか、よ〜く検討してみることにしたのだった。今日も「いろいろあってどう説明すればいいのやら」としか聞いていない。
文学全集やら美術全集やら○○の歴史やら百科辞典やら、そんなものはうっちゃって、どうにか選りだしたのは一箱のみ。全体の二十分の一か。「たったこれだけですか」お客さんも呆れていた。本当に申し訳ないような。