小さな蔵の屋根裏でホコリまみれ

今日は唐津まで。
貧乏根性が染み付いたというか節約精神が身に付いたというか、並行する有料道路に乗ろうかどうしようか、迷いながら延々と下道を走った。海岸線道なりの方が景色がいいもんな、と無理やり自分を納得させる。
背振の山々の新緑が匂う。胸がドキドキする。春先、山を眺めるといつもこうだ。
学生時代、背振山系の端から端まで、三日かけて歩いたことがある。途中、豪雨にテントを流され、助けを求めた農家は、なんとランプ暮らしだった。千メートルにも足らない山の中、車もない当時、80万都市の灯を眼下にしながら、戦後すぐに入植したというその開拓農家の生活は、能天気な学生には思いも付かないほど厳しいものだった。
あの時のお礼のハガキは届いたのだろうか。