ホコリまみれの本で部屋が埋まっている。
裸の百科辞典や文学全集、ビジネス書にガイドブック、ボロボロの児童書、電話帳。
やっと数冊選び出す。
「たったそれだけなら持っていってくれんでもええわ」
「みんな処分してもらうつもりやったのになあ」
三階から全部運び下ろして捨てさせるつもりだったらしい。
このところご無沙汰の若杉山登山口近く。登山靴持って行っとけばよかった。
一時間かけて戻るとすぐにお隣の団地から買取依頼の電話。
一箱ちょっと。お支払いもささやかなものながら、あまりに感謝されるので恐縮する。
教訓:遠くの他人より近くの他人。