初市

初市というのにお酒はなし。ご祝儀相場もない。
以前は一升瓶がゴロゴロころがり、酔っ払ってクダを巻く人までいたことを思うと隔世の感がある。しかし、作夏の中道大橋事故以来“飲酒運転撲滅運動”の聖地となってしまった福岡市であるからには、いたしかたないか。
新人一人組合加入。またまた店舗なし。しかし二十代と若い。
今日の目玉は、絵はがきの大山。約1メートル四方の黒い紙裏表にビッシリ貼ってある。それが数十枚、百枚以上もあるか。ハガキの数は千枚、二千枚?ちょっと見当がつかない。アイヌ風俗、朝鮮満洲、美人、年賀、飛行機に船、自動車。実に面白いけれど。ちょっとめくってみると、剥がれそうで剥がれない。無理に剥がして破れたような残骸もある。いったいこれはどうやって売ればいいのやら。しかし、入札封筒は札で膨れあがっている。
みな興味津々、取り囲んで開票を見守る。それぞれの思惑で、金額は数千円から15万円まで。おそろしく幅がある。結局8万数千円で他組合のご同業が落札した。
「ああ僕はやっぱりヘタだなあ、止め入れなきゃなあ」出品者がガッカリしている。ウンウン、気持ちはよくわかります。止め札一枚で7万円も損をしたんだもんなあ。いや?これは損をしたということにはならないんじゃあるまいか。儲けそこなったということか。