走り出してすぐネズミとりにつかまった。まだ500mも走っていない。
車間は適切、流れには乗っていた。スピード違反のはずはない。
シートベルトは締めている。
携帯はいつもの通り不携帯だし。
例の海の中道大橋間近とはいっても、まさかこんな朝っぱらから飲酒取締ではなかろう。
不審に思いながらも太っちょお巡りさんの指示通り横道に入ろうとすると、
「いや、間違えました。あなたではありません。申し訳ない」
さっさと行け、と言わんばかりに追い立てられてしまった。


こんなことから冤罪事件が始まるのだな、きっと。
「しまった、間違えた。かっこ悪いから適当な罪名ないかな」
「あれ、口からでまかせ言って脅したら自供しちゃった」
「おかしなヤツだな。自分から罪かぶって。しかし署長からも褒められたし、このままいってしまえ」
なんてことは、本当にないのだろうな。