飯塚とんだオチ



昼近く到着すると、事務所の一角にざっと百冊近く積み上げてある。
「昨日サークルの友人たちが来ましてね、これだけもう売ったので手をつけないでください」
話が違うと言いたいところだけどグッと我慢してシブシブ了承すると、さらに
「家にある本はね、あれみんな新しい本で、欲しいという人が多くてね。こっちで売ることにしましたから。ここの残りの本だけ片付けてもらえばいいですから」
おいおいそれはないんじゃないでしょうか、家の本に期待していたのに。口約束だって契約ですぜ。水濡れ本を全部運び出したので、お客さん、どうやら最初の惨状が頭から消えてしまったらしい。事務所も自由に歩けるようになったし、自分で売った方が金になる、そりゃそうでしょうが。
こんなことなら汚れ本は積み上げたまま、最後の最後に運び出すべきだった。


ということで今日は無駄足。帰りは道を間違え、若宮から犬鳴峠越え、気持ちの良いドライブだった。と、そういうことにしておこう。